毎年6月22日に新学期迎えるスロービジネススクールにとって6月は、新しい出会いとともに、別れの季節でもある。SBSという場で、何を学び、どんな想いを得て、飛び立つのか。

5年という月日をSBSで過ごした堤さんに、その心境を語ってもらった。

(企画・編集 矢野宏和)

現4期生の堤 妙です。

スロービジネススクールに(略すると、本来の意味があいまいになる気がするので「SBS」は用いず、少し長いですが正式名称で表記させていただきますね)4期生で入ってから、丸5年がたちました。

今度の更新をしない、という決意をお伝えしたあとで、エッセイのご依頼をしていただきました。
最後にこのような機会をいただき、ありがたい限りです。

振り返ると、入学当初は只ひたすらに学びたかった、のだと思います。

では、今は?
私にとっての「学びかた」が変わりました。
5年の年月は「気づき」と「出逢い」に満ちていたのです。

「気づき」は、恵みの雨のよう、降り注ぐ太陽のよう、吹きわたる風のよう。

私は、受けとるばかりでありました。
感謝の気持ちでいっぱいです。

だいじなことにも、改めて気がつきました。
雨滴、陽光、爽風は、お外へ出ないと、受けとることができない。

自分で扉を開けたら、世界は与える喜びに満ちているんだ、と。

お外に出られないときもあります。
そしたら、窓際に寄ってみよう、耳をすましてみよう、お鼻をふくふくさせてみよう。今の自分にできることをしよう。

誤解をおそれずに言うならば、しあわせだけを求めて生きていこう、と。

そんな発想は、スロービジネススクールによって培われたような気がします。

そして、微力な、それはもう微力なものだけれど、誰かにとって自分もそのような一助を担っているのだという自負のようなもの。

感謝と、実行。自分を信じる力。

これらの得がたきものを、芯にたずさえた今、
やるべきことが見えてきました。

私の指針3つ。
それは、本。
1冊の本が必要なひとのもとへ届きますように。
本・ひと・出逢いを介し、本のことづてをお届けすること。

それは、自然。
地球の営みに添う術を学びあい、伝えていくこと。

それは、毎日の暮らし。
ワッハワッハとたのしく過ごすこと。
からだとこころを、健やかにおだやかにする、手だてを分かちあうこと。

3つの指針を、私へとつなげているもの。
それは、人とのつながりであり、11年前に出会った言葉、シュティフターが述べる「おだやかな法則」です。

「すべての人間は他のすべての人間にとって一個の宝石であるがゆえに、万人が宝石としてまもられんこと、を欲する法則なのである。この法則は人間が人間とともに住むところにはつねに存在し、人間が人間にたいして働きかけるばあいには、かならずあらわれる。」
(『石さまざま』序文/著アーダルベルト・シュティフター)

人類にとっての法則というだけでなく、万物の法則と言えるのではないでしょうか。彼の言葉をかみしめています。

特に3月11日以降は、再認識の日々でした。
やっぱり命が大切だと言いたいから、そんな人間でありたいと強く考えています。

今後の私は、木職人の修行をはじめた夫と共に、ひとびとが集う場を創造したいと思っています。「本のとまり木 ことづて屋」の行く末を、見守っていただけたら嬉しいです。自然に生かしてもらい、まことの豊かさを求めて、生きていきたいと考えています。

スロービジネススクールで多くの方と出逢い、多様な生きざまに触れ、やさしさに包まれたこと。
しあわせな日々でした。

ありがとうございました。
このエッセイを、私の「卒業ふしめ」とさせていただきます。

感謝をこめて。

つつみ たえ